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千葉を襲った「修理半年待ち」の悪夢。災害時に業者が来ない本当の理由

業者選びの真実と警告

本記事の要約と目次

2019年台風被害が残した「半年待ち」の悪夢
――千葉県民が二度と繰り返してはならない教訓

村上 健司
(一級建築士・千葉県雨漏り防災プロジェクト責任者)

千葉県にお住まいの皆様、そしてこれから千葉で家を守ろうとお考えの全ての方へ。

私は一級建築士として、長年千葉県内で数千棟の屋根診断と修繕に携わってきました。2019年9月の台風15号(房総半島台風)と、その直後に襲来した台風19号の被害現場を、自ら何度も足を運んで調査しました。あの時の光景は、今でも鮮明に脳裏に焼きついています。

街中が青いブルーシートで覆われ、まるで異様な風景。多くの家庭が雨漏りに悩まされ、修理の順番を待つ長い行列ができ、「半年待ち」「1年待ち」という言葉が日常的に飛び交う状況。あれは、自然災害の猛威だけでなく、私たちリフォーム業界の構造的な弱さが露呈した、忘れられない悪夢でした。

最近、若い世代や当時のニュースを詳しく見ていなかった方から、「あの『半年待ち』って、本当にそんなにひどかったんですか?」という質問をいただくことがあります。はい、本当にひどかったのです。今日は、あの時の実態を、できるだけわかりやすく、事実に基づいてお伝えしたいと思います。私が現場で見たこと、被災者の方々から直接聞いた声、そしてそこから得た教訓を、私の意見も交えながら語らせてください。この話が、皆様の家を守る一助になれば、これ以上の喜びはありません。

1. 突然訪れた壊滅的な被害――「風台風」が千葉を襲った瞬間

まず、当時の状況を振り返りましょう。2019年9月9日未明、台風15号が千葉市付近に上陸しました。この台風は、中心気圧960hPa、最大風速40m/sを超える勢力で、千葉市では観測史上最強の最大瞬間風速57.5m/sを記録しました。気象庁のデータでも、関東地方に上陸した台風としては史上最強クラス。特徴は、雨量がそれほど多くなかった代わりに、圧倒的な強風だったことです。いわゆる「風台風」と呼ばれました。

千葉県公式データによる被害規模

  • 全壊: 448棟
  • 半壊: 4,694棟
  • 一部損壊: 77,091棟
  • 屋根損壊: 県全体で約6万件以上

※内閣府報告書では70,000棟以上の建物が被災と記録

この強風が、千葉県の住宅に壊滅的なダメージを与えました。主な被害は、強風による屋根瓦の飛散、スレート屋根の剥離、棟板金のめくれや飛散です。

私は上陸直後、現地に駆けつけました。南房総市、館山市、鋸南町、鴨川市……どこに行っても、屋根が剥がれた家が連なっていました。飛散した瓦や板金が道路に散乱し、二次被害を引き起こしている光景。あるお宅では、屋根全体がめくれ上がり、室内が丸見えになっていました。被災者の方は「一瞬の風で、家が壊れた」と震える声で語られました。

さらに深刻だったのが、長期間の停電です。倒木や電柱の倒壊により、最大約64万1,000戸が停電。東京電力の対応で完全復旧まで最長19日間を要しました。9月の残暑厳しい時期にエアコンが使えず、携帯電話の充電も切れ、Wi-Fiも不通。修理業者を探すための情報アクセスが物理的に遮断されたのです。自力でブルーシートを張ろうとしても、高所作業は危険で、多くの高齢者世帯では不可能でした。

そして10月、台風19号が追い打ちをかけました。広範囲の大雨と再びの強風で、台風15号でブルーシートを張っていた家屋のシートが飛散し、雨漏りが悪化。結果、千葉県南部を中心に「ブルーシートの街」と呼ばれる異様な光景が広がりました。NHKや新聞で繰り返し報道された、あの青いシートだらけの街並みです。

2. 「半年待ち」の実態――なぜ修理がそんなに遅れたのか

ここからが本題です。「半年待ち」という言葉は、当時、被災者の間で日常的に使われました。なぜそんなに待たされたのか? ニュースを見ていなかった方にもわかりやすく説明します。

物理的な供給の限界

まず、被害の規模が膨大だったことです。約6万棟の屋根が損壊したのですから、通常の数年分の工事が一気に集中したイメージです。地元の屋根業者や工務店には、台風直後から電話が殺到。小規模経営の業者が多く、職人数が10人未満というところも少なくありません。数日のうちに300件以上の依頼が積み上がり、キャパシティオーバー(能力超過)になりました。

優良業者は、既存の顧客(長年のお付き合いのある方)を最優先せざるを得ず、新規の一般依頼を「半年以上お待ちください」と断るか、延期するしかありませんでした。私は現場で、地元業者さんから「手が回らない」「職人が足りなくて申し訳ない」との言葉を何度も聞きました。彼らの怠慢ではなく、物理的な限界だったのです。

職人不足と「供給の蒸発」

根本原因は、建設業界全体の職人不足と高齢化です。屋根工事は高所作業で体力的に厳しく、平均年齢が50歳を超える職人が多い中、後継者が育っていません。いくら見積もりを作成しても、実際に屋根に登れる職人の絶対数が足りない。結果、工期は数ヶ月先、半年以上先に延期されるのが常態化しました。これが「半年待ち」の実態です。

当時の新聞報道(毎日新聞2019年9月23日記事)でも、「業者に依頼殺到で長期化」「修理が進まない」と伝えられていました。1ヶ月後(10月)の報道では、住宅被害4万5000棟超えで、ブルーシートすらない家が581棟もある状況。1年後(2020年9月)の調査では、修理が4割未完了というデータもあります。鋸南町などでは「5年待ち」という声までありました。

ITマッチングの限界

さらに、マッチングサイトや一括見積もりサイトも機能しませんでした。普段は便利ですが、災害時は加盟店自体がパンク状態。全国から職人を募集したプロジェクト(CraftBank)でも、ニーズに対し施工できたのは約25%にとどまったそうです。ITは情報を伝達できても、物理的な職人を即座に生み出せない限界が露呈しました。

3. 空白を突いた悪徳業者――二次被害の恐怖

この「半年待ち」の空白地帯に、悪徳業者が大量流入しました。他県ナンバーの車で訪問販売し、「近くで工事をしているから無料点検します」と親切を装い、屋根に上って不要な損傷を指摘。高額なブルーシート養生費(数万円~数十万円)を請求したり、契約を迫ったり。書面なしの口約束で工事を始め、完了後に法外な追加料金を要求するケースも多発しました。

技術のない「にわか職人」が高額日当に釣られて集まり、見よう見まねの作業で雨漏りを悪化させる事例も。屋根材を踏み割ったり、作業員自身の転落事故(千葉県内で101件、2人死亡)が発生したりしました。

実際にあった相談事例

「騙されて数百万円払ったのに雨漏りが止まらない」

私は相談を受けた方から、涙ながらの訴えを聞き、義憤を抑えきれませんでした。千葉県や消費者センターが繰り返し注意喚起を発し、新聞・テレビで報道されたこれらの二次被害は、被災者の心理的な弱みに付け込んだ悪質な行為です。

4. 私の意見――なぜ「半年待ち」は業界の構造的問題なのか

ここで、私の意見を率直に述べさせてください。私はあの災害を「業界の恥」とさえ思っています。なぜなら、「半年待ち」は自然災害のせいだけではないからです。リフォーム業界、特に屋根修理の多くが「多重下請け構造」に依存していることが、最大の原因です。

元請け(大手リフォーム会社)が営業に特化し、実際の工事は一次、二次、三次と下請けに丸投げ。各層で中間マージンが抜かれ、最末端の職人に回る単価が低くなる。結果、手抜きや品質低下が発生しやすくなります。災害時は、下請け職人が他の優先現場に取られ、一般住宅の工事が後回しにされるのです。

また、「地元密着」を謳う個人親方の限界もあります。小規模なら同時対応できる件数が少なく、災害時は既存顧客優先で新規を断るしかありません。職人の高齢化も深刻で、後継者がいない業者が突然廃業するリスクもあります。

私は現場で、数えきれないほど「紹介された業者が来なかった」「見積もりが高額すぎた」「工事の品質が悪く、再び雨漏りが発生した」という相談を受けてきました。ネットのランキングサイトや紹介料ビジネスも、広告費を払った業者が上位表示される仕組みで、純粋な優良業者とは限りません。

この構造が変わらない限り、次の台風でまた「半年待ち」が繰り返されます。私はそれを絶対に許せません。

5. 解決の道――完全自社施工・正社員職人体制の必要性

では、どうすればいいのか? 私の答えは一つです。「完全自社施工」で、職人を正社員として抱える体制です。

業界では珍しい「逆転の発想」ですが、これが災害時に最も強いのです。正社員職人は、会社からの命令で柔軟に配置可能。災害時は被災地に集中投入でき、品質も統一的に管理できます。下請け依存の業者は「他の現場を優先せざるを得ない」と断りますが、正社員体制なら「会社の軍隊」のように一丸となって対応できるのです。

Roof Meister School(ルーフマイスタースクール)の取り組み

私たちが実践しているRoof Meister Schoolは、その象徴です。ニートやひきこもりの若者をゼロからプロの屋根職人に育成するプログラム。地上研修から始め、安全教育を科学的に行い、社会復帰と職人不足解消を同時に実現しています。卒業生は正社員として雇用され、災害時の即応力を支えています。

過去の災害(2024年の能登半島地震など)でも、正社員チームが迅速に本格復旧工事を実施しました。この体制があれば、2019年の「半年待ち」は避けられたはずです。

6. 千葉県民が今できること――教訓を生かすために

あの悪夢から7年近くが経ちますが、千葉県のリスクは変わっていません。潮風による塩害、台風の強風、地震の脅威。次の災害が来る前に、皆様に呼びかけたいことです。

  • 屋根の定期点検を習慣に(地上から双眼鏡で確認、天井のシミチェック)
  • 業者選びは「完全自社施工・正社員職人体制」を最優先に
  • 見積もりは詳細明細、写真付き診断報告書を求める
  • 次世代金属屋根(SGL鋼板やジンカリウム鋼板)とカバー工法を検討
  • 太陽光・蓄電池で「停電しない家」を目指す

私はこの教訓を伝えるために、書籍『千葉県の雨漏り修理のおすすめは?』を執筆しました。あの「半年待ち」を二度と繰り返さないために、千葉県民の皆様が正しい知識と選択を持っていただけることを、心から願っています。

千葉の空の下で、皆様が安心して暮らされますように。

村上 健司

2026年2月

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